2023年11月11日(土)~12日(日)にかけて、庄内地方に夫婦で出かける用事があり、この用事にあわせて庄内の温泉宿に一泊してきたので、今回はそのときに宿泊したお宿の宿泊レポートをお届けしたいと思います。
今回宿泊したのは、山形県鶴岡市の「九兵衛旅館 別館 珠玉や(たまや)」(山形・湯田川温泉)です。こちらのお宿は、湯田川温泉地区で、創業300年を超える老舗温泉旅館「九兵衛旅館(くへえりょかん) 」の姉妹館になります。
「九兵衛旅館 」は湯田川温泉地区で圧倒的1番人気を誇る人気宿ですが、その別館にあたる「珠玉や」も湯めぐり・おこもりにピッタリな宿でしたので、今回のブログ記事を「宿選び」・「宿での過ごし方」の参考にしてみてください。
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「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の売りは、なんと言っても、九兵衛旅館グループの3つの温泉宿(「九兵衛旅館」「九兵衛旅館 別館 珠玉や」「ますや旅館」)と湯田川温泉エリア内の共同浴場(「正面湯」「田の湯」)をあわせた合計11ヶ所の湯殿を無料で湯めぐりできることです。
- 川の湯(「九兵衛旅館」の大浴場)
- 山の湯(「九兵衛旅館」の大浴場)
- 檜風呂(「九兵衛旅館」の貸切風呂)
- まんてん(「珠玉や」の貸切展望風呂)
- ゆうぎり(「珠玉や」の貸切風呂)
- あさつゆ(「珠玉や」の貸切風呂)
- 古代檜の湯(「ますや旅館」の貸切風呂)
- 竹の湯(「ますや旅館」の貸切風呂)
- 梅の湯(「ますや旅館」の貸切風呂)
- 正面湯(湯田川温泉共同浴場)
- 田の湯(湯田川温泉共同浴場)
※マーキングありが今回湯めぐりしてきた浴場
さすがに今回の滞在中にすべての浴場をめぐることはできませんでしたが、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の3つの貸切風呂に加えて、「九兵衛旅館」と「ますや旅館」のメインの浴場をめぐって湯浴みを楽しみました。湯めぐりした大浴場・貸切風呂の浴場内の撮影・当ブログへの写真の掲載を許可していただきましたので、今回まわった大浴場・貸切風呂を写真付きで詳細にレポートしていきます。
【「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の基本情報】
住所 | 〒997-0752 山形県鶴岡市湯田川乙39 |
開業日 | 平成15年1月11日 |
電話番号 | 0235-35-3535 |
アクセス | 【車の場合】 ・山形自動車道 →鶴岡IC→国道7号→県道338号(約15分) 【新幹線→高速バス→タクシーの場合】 ・山形新幹線→山形駅→庄内交通バス山形線に乗車→庄内観光物産館で下車(約1時間30分・2,600円)→タクシー(約15分) 【高速バス→タクシーの場合】 ・渋谷駅または池袋駅→庄内交通バス池袋渋谷線に乗車→庄内観光物産館で下車(約7時間30分・7,800円)→タクシー(約15分) ・仙台駅→庄内交通バス仙台線に乗車→庄内観光物産館で下車(約2時間30分・3,400円)→タクシー(約15分) 【飛行機→リムジンバス→路線バスの場合】 ・庄内空港→庄内空港連絡バスにてJR鶴岡駅前(約26分・780円)→路線バス「湯田川・越沢・坂の下方面行き」に乗車→湯田川温泉バス停下車(約27分・510円) |
総客室 | 5階建(全8室、総収容人数24名) |
駐車場 | 20台(無料、予約不要) |
チェックイン | 14:00(最終チェックイン 18:00) |
チェックアウト | 11:00 |
公式サイト | https://www.kuheryokan.com/tamaya/ |
湯田川温泉郷は、庄内地方では最も古く開湯1300年を超える歴史をもち、JR鶴岡駅から車で約20分(路線バスだと約30分)の距離にあることから「鶴岡の奥座敷」とも呼ばれています。2001年には保養地として優れた温泉地の整備・育成を目的とする制度である環境省指定の「国民保養温泉地」としての認定も受けています。
湯田川温泉では、毎分約1000リットルの湧出量を誇る豊富な源泉を昭和11年から旅館組合で集中管理して、全13の施設(旅館9、共同浴場2、足湯1、病院1)に送っています(もちろん全て源泉掛け流しです)。
本館にあたる「九兵衛旅館」は、作家の藤沢周平さんをはじめとして数々の文人・墨客・画家が愛した宿としても有名で、貸切温泉風呂がほとんどなかった昭和の時代から貸切温泉風呂を備えていたことから、数々の芸能人もお忍びで宿泊されていたようです。
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」についての日本の宿泊予約サイトの口コミはこんな感じです。コメントは「九兵衛旅館 」と同様に美味しいと評判の料理に関するものと、館内に設置されている3つ貸切風呂に関するものがほとんどで、どれも高評価ばかりです。
- Google :★4.6(総口コミ数117件)
- 楽天トラベル:★4.63(総口コミ数317件)
- じゃらん :★5.0(総口コミ数647件)
【2024年1月12日追記】
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」は、じゃらんnetユーザー口コミ宿ランキング(総合部門)で2023年東北(旅館)で第2位に選ばれました!また、夕食部門でも2023年東北(旅館)で第2位に選ばれています!
私たち夫婦が実際に宿泊して感じた、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の主な高評価ポイントはこちらです。
- 合計11ヶ所の湯殿の中から自由に選べるカスタムメイド湯めぐり
- 庄内地方の旬の食材にこだわり季節を感じさせる絶品会席料理
- ひっそりと過ごすおこもりステイに最適な5階建て全8室の館内の造り
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」は、総客室数が8室のとてもこじんまりしたお宿なので、ハイエンドな客室は設けられておらず、すべてスタンダードな客室です(これに対して、本館の「九兵衛旅館 」には客室温泉風呂付きのメゾネットタイプの部屋が3部屋設けられています)。客室からの眺望にも各部屋で大差ないと思います。今回私たちは「竹林」というスタンダードな客室を予約しました。
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」にチェックインしてからチェックアウトするまでの流れ(モデルプラン)は、次のとおりです。
今回の宿泊中のスケジュール(モデルプラン)
1日目 |
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17:00 チェックイン |
17:15 ルームツアー |
17:40 入浴(「九兵衛旅館 」大浴場「川の湯」) |
18:40 夕食 |
20:30 読書休憩 |
21:30 入浴(「九兵衛旅館 」大浴場「山の湯」) |
22:15 部屋に戻ってクールダウン |
22:45 入浴(貸切風呂「あさつゆ」「ゆうぎり」) |
23:30 就寝 |
2日目 |
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5:30 起床 |
6:00 入浴(貸切展望風呂「まんてん」) |
7:40 朝食 |
8:30 コーヒータイム |
8:45 入浴(「ますや旅館」貸切風呂「古代檜の湯」) |
9:45 ティータイム・チェックアウトの準備 |
11:00 チェックアウト |
1日目
17:00 チェックイン
「珠玉や」を含め「九兵衛旅館」グループの温泉宿のチェックインの受付開始時刻は14時~と早いので、早めにチェックインすることで湯めぐりをメインに据えてゆったりとしたスケジュールを組むことができます。
私たちの場合は別の用事があったため、実際のチェックインは17時過ぎでしたが、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の貸切風呂の利用は先着順の予約制ではないので、チェックインが遅めになっても湯めぐりに支障が出るなんてことはありません。
JR鶴岡駅や庄内観光物産館から湯田川温泉地区へは、国道7号(鶴岡バイパス)と県道338号を経由して向かうのが、1番わかりやすいルートです。湯田川温泉地区の入口には、大きな提灯看板が設置されている湯田川温泉公園があり、それが目印になっています。
湯田川温泉地区への入口から片道1車線の道路をまっすぐ230メートルほど進むと、左手に湯田川温泉の共同浴場「正面湯」の建物が見えてきて、隣に駐車場(旅館組合共同駐車場)があり、さらにその隣に「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の建物があります。
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」は、狭めの敷地いっぱいに5階建ての建物が建てられていますが、全体的なサイズ感はこじんまりしていて、個人経営の旅館と言われても納得してしまうような佇まいです。それもそのはず、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の建物は新たに建てられたものではなく、営業を閉じていた旅館の建物を譲り受けたうえで、これをリノベーションして平成15年1月に「九兵衛旅館 別館 珠玉や」としてオープンさせたものだそう。
「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の建物と本館にあたる「九兵衛旅館 」の建物とは、徒歩で約50秒という目と鼻の先の距離にあるので、湯めぐりの際も移動もとっても楽チンです。
また、路線バスの「湯田川温泉」バス停も徒歩で約30秒の近さにあるので、バスの発車時間にあわせて行動できれば路線バスで鶴岡市内方面へ帰ることもそれほど苦にはならないと思います。
私たちが「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の建物に到着したのが辺りが薄暗くなった17時過ぎだったこともあり、専用の無料駐車場の場所がわからず少し戸惑いましたが、建物の道路を挟んだ斜向かいが「九兵衛旅館 」と「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の専用駐車場になっていました。駐車場には普通車20台分のスペースが確保されていますが、大型車については「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の隣接の旅館組合共同駐車場を利用します。
駐車場に車を停めて「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の建物に向かって近づくと、どこからか硫黄臭が漂ってきました。おそらく目の前の排水溝に向かって流されていた温泉排水が硫黄臭の発生源だろうということで、湯浴みへの期待も高まります。
建物の入口までたどり着いたら、中に入っていざチェックインに向かいます!
格子戸を開けて建物の中に入っていくと、手前が風除室になっていて、奥にもう一つ扉(蔵戸)があります。蔵戸をくぐり抜けたところに、コンパクトな玄関スペースが広がっています。
フロント、ロビー
玄関をあがって建物の館内に入ると、すぐ左奥にフロントとロビーラウンジがあります。
フロントデスク周辺は売店コーナーを兼ねていて、庄内地方のお菓子や工芸品といった土産物が所狭しと陳列販売されています。
フロントデスクはかなり狭いので、チェックインの手続き自体は、フロント前のロビーラウンジのテーブル席で行います。大正モダン風のロビーラウンジも施設の大きさにあわせてこじんまりしていて、4人掛けのテーブル席×2と2人掛けの椅子が設置されているだけの簡素な造りです。天井には古民家の梁を使用するなど、全体的に古き良き温泉旅館の情緒を感じられます。
ロビーラウンジには、新聞や山形のガイドブック・生活情報誌、藤沢周平さんに関する本や庄内の郷土誌などが備え置かれているので、ちょっとしたスキマ時間にはここで本を手に取って読書してみるのもいいでしょう。
スタッフさんに案内されてロビーラウンジのテーブル席に着席すると、そこでチェックインの手続きです。
最初に宿泊者名簿(「ご宿泊カード」)への必要事項の記入を済ませ、館内の案内に関する説明を受けます。
ここで夕食と朝食の希望時間を確認されます。夕食時間は午後6時または午後6時40分の選択制でしたが、私たちが到着したのが遅めの時間だったこともあり、できれば遅いほうの午後6時40分にして欲しいと言われたので、こちらの時間を選択しました。朝食は午前7時40分・午前8時・午前8時30分の選択制だったので、1番早い午前7時40分を選択しました。
- 夕食 【 18:00、18:40 】
- 朝食 【 7:40、8:00、8:30 】
夕食と朝食の時間を選択する際には、湯めぐりを中心とした滞在中のスケジュールを考える必要がありますが、私たちは「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の3つの貸切風呂と「九兵衛旅館 」と「ますや旅館の」のメインの浴場(「九兵衛旅館 」の大浴場「川の湯」「山の湯」と「ますや旅館」の「古代檜の湯」)を湯めぐりするスケジュールで考えていました。
そこで、17時過ぎにチェックインした際に、「九兵衛旅館 」と「ますや旅館」の湯めぐりが可能な時間帯について確認してみると、「九兵衛旅館 」はいつでもOK(ただし、19:30~20:00は大浴場の男女入替のため入浴不可)とのことでしたが、「ますや旅館」は宿泊当日のチェックイン~18:00と翌日の8:00~10:00とのことだったので、2日目の朝食を早めに済ませて、「ますや旅館」の「古代檜風呂」に湯めぐりしに行くスケジュールで、朝食の時間を7時40分にしました。
ちなみに、湯田川温泉地区は、狭いエリアに温泉旅館や共同浴場が密集しているので、「九兵衛旅館 」や「ますや旅館」への移動に伴う時間のロスを考慮する必要はほとんどありません。
夕食と朝食の時間を指定したら、客室の鍵を渡されてチェックイン完了です。鍵はごくごく普通のタイプの鍵でした。
館内着の貸出コーナー
各客室には館内着の準備がないので、1階のロビーラウンジの奥に設けられている館内着の貸出コーナーから、好みの館内着をピックアップしていきます。館内着には、作務衣のほかに浴衣もあり、せっかくなので私は浴衣をピックアップしていきました。
17:15~ ルームツアー
1階でチェックインを終えたら、今夜宿泊する客室「竹林」に向かいます。
とはいっても、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」は5階建ての建物に全8室の客室しかないことからもわかるとおり、各フロアはとってもコンパクトな造りになっているので、館内で迷子になってしまうなんてことはありません。
各フロアへの移動方法は階段またはエレベーターがありますが、私たちが宿泊する「竹林」の客室は3階にあるので、エレベーターで向かいます。エレベーターは玄関から建物の館内に入ってすぐ右にあります。
エレベーターを3階で降りると、右手に「はぎ」「かえで」「ききょう」の客室が、その反対の左手に「竹林」の客室があります。
「竹林」の客室は、同じフロアの他の客室からは少し離れた場所に独立して設けられているので、他の客室よりもプライベート性が高く、たまたまですがラッキーでした。
ということで、あっという間に「竹林」の客室に到着です。
洗面台、トイレ
入口ドアを開けて「竹林」の客室内に入ると、すぐに洗面台とトイレが目に入ってきます。
洗面台はいたってコンパクトな仕様ですが、2023年になってリニューアルされたものでまだピカピカの新品で使いやすく、入室早々から気分は上々です。
洗面台に備え付けのヘアドライヤーはPanasonic製のナノケアドライヤー(「 EH-NA24」)で、使い捨てのアメニティ類も必要最小限のもの(歯ブラシ、コットン、ヒゲソリ)でした。備え置きのフェイス&ハンドソープはPOLAのもの(「薬用リキッドソープ」)でした。
洗面台の隣にはトイレが設置されていて、TOTO製の自動洗浄機能付きのタンクレストイレ(「ネオレストRS」)でした。こちらも洗面台と一緒にリニューアルされたばかりのもので、ストレスフリーで使えます。
廊下の奥にある押し入れも中が気になって開けてみましたが、こちらにはマットレスや布団が入っていました。
和室
水回りのチェックを終えたところで、ふすまを開けてリビングルームとなる和室の確認です。
ふすまを開けると、そこには温泉宿らしい10畳の純和室の空間が広がっています。「九兵衛旅館 別館 珠玉や」の全8室の客室は、うち6室が8畳の和室仕様で、10畳の和室仕様なのは2室だけですが、今回は幸運にも広めの10畳の和室がある部屋をアサインされました!
クローゼットの扉を開けてみると、湯かご、半纏、湯たび、フェイスタオル・バスタオル、ランドリーバッグが2組ずつ入っていて、下の棚にはセーフティボックスがありました。
テレビのサイズは小さめですが、「九兵衛旅館 別館 珠玉や」では、1階でDVDの無料レンタルを実施しているので、早めのチェックインでのんびりする時間を確保できた場合には、部屋でゆっくりとDVD鑑賞するのもアリでしょう。また、1階ではDVD以外にも、トランプ、UNO、囲碁将棋なども貸し出されていました。
部屋の中央に設置されているテーブルの上には、ウェルカムスイーツとして「芋きんとん」が置かれていました。
広縁
和室の奥の窓際には広縁も設けられていて、ソファとテーブルのほかに、ミニ食器棚と冷蔵庫が設置されていました。
冷蔵庫の上には500mlのミネラルウォーター(「天然名水 出羽三山の水」)が2本置いてあった以外にも、冷蔵庫の中にも160mlの缶ジュース(「山形代表(りんご、ぶどう)」)2本が入っていました。もちろん無料です。
そのほか、備え付けのグラスやお茶セットもしっかり揃っていました。また、備え付けの電気ケトルはティファール製(アプレシア エージー・プラス ロック ルビーレッド 0.8L )でした。
最後にWiFiの速度もチェックしましたが、320Mbpという久々の爆速数値をたたき出したので、全く問題ありません。
客室まで紹介し終えたところで、次回は「九兵衛旅館 」本館の大浴場「川の湯」とメインイベントの夕食をレポートしていきます。
【続く】
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