前回に引き続き「山形座 瀧波」のブログ記事その3です。今回は、「山形座 瀧波」の代名詞の一つにもなっているライブ感抜群のオープンキッチンでのディナーをその雰囲気を含めて伝わるようにレポートしていきます。
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今回の宿泊中のスケジュール(モデルプラン)
1日目 |
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15:00 チェックイン |
15:10 ウェルカムサービス |
15:30 ルームツアー |
16:30 蕎麦打ち見学、日本酒のテイスティング |
17:30 入浴(客室温泉露天風呂) |
18:40 ディナー ⇐いまココ! |
21:00 バータイム(ラウンジ「1916」) |
22:00 入浴(湯処「073」) |
23:00 夜食 |
24:00 就寝 |
2日目 |
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7:00 起床 |
7:30 朝食 |
8:15 コーヒータイム |
8:45 朝ツアーまたは朝風呂 |
10:00 お土産コーナーを物色 |
10:30 チェックアウトの準備 |
11:00 チェックアウト |
1日目(続き)
18:40~ ディナー
「山形座 瀧波」の代名詞である「十割源泉」の湯浴みを堪能したら、もう一つの代名詞であるオープンキッチンでの「置賜ガストロノミー」を堪能するために、ディナー会場に向かいます。
地域の風土、歴史、文化を料理に表現すること(すなわち、地域のことを総合的に学び、サスティナブルな食環境を考え、その上で「自分の料理に地域を表現していきましょう」という考え方)
(出典:一般社団法人ローカル・ガストロノミー協会公式ホームページ)
会場はもちろんダイニング「1/365」です。ディナーの開始時刻は、カウンター席が18:40、個室席が18:45と5分のラグがありますが、私たちはカウンター席を予約していたので18:40にあわせてダイニングに入りました。ダイニングの入口横のセラーには高級ワイン・日本酒の数々がこれでもかと並べられています。
ディナーの席については、宿泊の2週間前ぐらいに確認の電話をもらったのですが、「山形座 瀧波」のディナーではカウンター席一択であることを事前にリサーチ済みだった私たちは、この時にカウンター席をお願いしていました。
ということで、ダイニング「1/365」に入ると、スタッフさんの案内でカウンター席に着席です。私たちの席は、左奥から数えて3番目と4番目の席でした。おそらくカウンター席中央付近などの良席は、グレードの高い客室のゲストから優先的にアサインされるんだと思います(蕎麦打ち見学のときにカウンター席の中央を体験しておいて良かったぁ~)。
カウンターテーブルの上には、クロモジ茶とタンブラーに入ったお水がセッティング済みです。また、この日のディナーのお品書きと蕎麦打ち見学のときにも参照したアルコールドリンクのペアリングガイドが置かれていました。
お品書きには、料理ごとに素材とその産地の記載があるだけで、お品書きを見ただけではどのような料理が出てくるのか全くわかりません(お凌ぎの「打ち立て蕎麦」だけはわかりました笑)。どんな料理が出てくるんだろうと想像力を掻き立てられて特別なディナーへの期待も膨らみます。
そこに本日のメインディッシュで提供される米沢牛の内モモ肉のブロックがお披露目です。キレイなピンク色のお肉が今晩のメインディッシュということでもう待ちきれません!
最初の一杯目に何をオーダーしようかと悩んでいたところで、最初の一杯目は当日のゲスト全員にグラスシャンパン(ジャック・ブサン・グラン・クリュ・ブリュット)をサービスしてもらえるという嬉しいサプライズがありました!こうした仕掛けの絶妙さも「山形座 瀧波」が人気宿たるゆえんですね。
そして、いよいよお待ちかねのディナーの開演です!
幕開き
最初の一品目の料理は、おひさま農園の伯爵かぼちゃを使用した料理です。クリームの風味をきかせた濃厚なかぼちゃのポタージュ系のムースのようなスープのような一品です。口をつけてみると温かく、ふわふわでまろやかな食感が印象的でした。
幕開きの料理はもう一品あります。こちらは平農園のふじりんごを使ったオードブルの一品です。
上にのせられている生ハムをめくると、角切りにされたふじりんごとリコッタチーズがリンゴの皮で一緒に巻かれていました。アクセントにレモンピールも置かれているので、爽やかにいただけます。
このあたりで一杯目のシャンパンを飲み終えた夫は、ペアリングガイドをしばらく眺めながら、最終的に「おまかせコース」のハーフ(6,500円)をオーダーしました。
「おまかせコース」では、ソムリエとサケディプロマが料理にあったワイン・日本酒をペアリングしてくれるので、あんまりお酒に詳しくない夫には頭を悩ませずに料理とお酒のマリアージュを愉しめるのが決め手になったみたいです(ただフルは1万3000円もするので、クリスマス前とはいえ今回は様子見とのこと笑)。
こちらの「おまかせコース」の最初の一杯は、カルフォルニア州ナパ・ヴァレーの有名ワイナリー「KENZO ESTATE(ケンゾー エステイト)」の白ワイン「asatsuyu(あさつゆ)」でした。なんでも「山形座 瀧波」は「KENZO ESTATE(ケンゾー エステイト)」と特約店契約を結んでいるとのことで、同ワイナリーのワインの安定した供給を実現できるのだそう。私も一口もらいましたが、とってもキリッとしていて美味しいワインでした。
このあたりからオープンキッチンにも動きが出てきて、続く3品目への期待が膨らみます。
恵み
幕開きの2品を食べて胃袋が動き出したところで提供された3品目は、「きのこと熊肉のスープ」(料理名は想像)です。
こちらの料理は、4種類のきのこと熊肉をゆずが香るスッキリした出汁でいただく料理でした。
このスープで驚いたのが、アラゲキクラゲの歯ごたえで、市販のキクラゲよりも断然歯ごたえがよく、まるで生野菜でも食べているような「ザクッザクッ」とした力強い歯ごたえでした。
熊肉はちょっとだけクセがあるものの、臭みや脂身は全くなく、ホロホロしていて美味しかったです。
山海
スープを飲み終えてお品書きを眺めてみると、「塩釜産 鮪」との記載があったので、次の料理はお造りかなと勝手に予想していました。
と、ワクワクしながら次の料理を待ち構えていたところ、このタイミングで再び振舞酒のサービスが!!
グルメ雑誌「dancyu(ダンチュウ)」(発行:プレジデント社)の2017年3月号で、124本の日本酒の中から「ベスト・オブ・魚酒」に選ばれた「磐城壽 山廃熟成純米酒 アカガネ」(山形福島・鈴木酒造店長井蔵)を、この次にくる料理とのペアリングでご賞味くださいとのこと!
そして、4品目にやって来た料理がこちら!
見た目の芸術点も高得点のお造りの逸品の登場です!
こちらは、鮪のお造りといっても、カルパッチョを思わせるような創作料理でした。一番下にはすだちベースのクリームソース+オリーブオイルが敷かれていて、その上に鮪のお造りとビーツを層にして重ねたもの、さらに一番上には源氏菊+山葵があしらわれているという、とってもオシャレな逸品です。
よくある鮪のカルパッチョとも少し違って、酸味が強めの、初めての味覚体験でしたが、もちろん日本酒がすすんでしまいます。
お凌ぎ
ディナーが盛り上がってきたところで、お凌ぎとして打ち立て蕎麦の登場です!
南社長が直々に打った蕎麦は、一番粉だけを使う白い更科そばとは対極の黒っぽい田舎そばで、なめこのつけ汁や花塩でいただきます。
手の込んだ美しい料理の合間に、太めに切られた麺が混じった蕎麦が出てくると、なんだかホッとしてしまいました笑。
オープンキッチンでは、中川強シェフも出てきて、次の料理への期待がさらに膨らみます。
冬瓜
田舎そばでインターバルを挟んだ次の料理は、山形県尾花沢市のさいとう農園で育てられた蕪(カブ)と庄内で獲れた羽太(ハタ)をソテーした一品です(上に添えられているのは蕪の葉を素揚げしたもの)。ソースには山形県西置賜郡飯豊町の柿酢が使われていて、振りかけられているのは野菜パウダーです。
この料理は、なによりも蕪(カブ)がとっても甘かったことにビックリ!火を通しただけで蕪(カブ)からこんなに甘みが出るものかと夫と一緒になって驚きました。淡白な羽太(ハタ)の身も甘みのある柿酢のソースとマッチしていて美味でした。
この料理にあわせて、夫の「おまかせコース」のハーフの2杯目のワインも提供されました。
2杯目のワインは、「山形座 瀧波」から徒歩で約10分のところにある超地元のワイナリー「イエロー・マジック・ワイナリー」が醸造したデラウェアが主体のナチュラルワイン「GROOOVE DELA YARO(グルーヴ・デラヤロウ) 2022」です。果実味がありますが、赤ワインほど渋みは強くはないので、意外にスイスイ飲めちゃいます。
郷土
次の料理は、2品が並べられて出てきました。左がバラを象った生マッシュルームで、右が山形地鶏のクロケッタ(イタリアのコロッケ)+ジャガイモのピクルスです。どちらも舟形マッシュルームが使われていて(クロケッタにかかっているソースはマッシュルームソースです)、ピクルスには高畠産の男爵いもが使われています。
こちらの料理は、マイナーチェンジを繰り返されてはいますが、「山形座 瀧波」のディナーの定番メニューらしく、事前のリサーチでもちらほら見かけました。
クロケッタの中を開いてみると、
中から緑色のソースが溶け出てきて
これが美味しくないわきゃない!
生マッシュルームのほうは初めて食べたということもあって、鮮度の良さが感じられて、食感も味覚も存分に楽しめました。
ここで夫の「おまかせコース」のハーフのワインのペアリングは、フランス産の白ワイン「シャサーニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ レ・マシュレル ドメーヌ トマ モレ 2018」でした。上質かつ王道の白ワインといった感じで、料理との相性もバッチリでした。
ディナーが山場を迎えつつあるところで、メインディッシュにあわせたご飯の準備も進みます。各ゲストのテーブル前で萬古焼の土釜が火にかけられて、吹きこぼれ直前のタイミングを見計らってクロモジの小枝をゲスト自らの手で挿します。
口直し
クライマックスのメインディッシュに進む前に、口直しのグラニテでワンクッション置きます。
グラニテは、山葡萄とブルーベリーのソルベです。山葡萄とブルーベリーの味が濃くて、甘さよりは酸味のほうが強めです。
見た目はシャーベットにも見えますが、食感はどちらかというとアイスクリームのほうが近いかもしれません。
ソルベを食べている私たちの目の前では、メインディッシュの米沢牛がローストされて切り分けられていき、いよいよテーブルの上にその姿を現そうとしていました。
ときたら、ご飯(黒澤ファームの「夢ごごち」)も仕上げにかかります。土釜を火から外して蒸らしを終えたら、蓋を外していざご開陳です!
地元山形県南陽市の黒澤ファームの「夢ごこち」(コシヒカリを品種改良したブランド米)は、38道府県178品がエントリーした「お米番付2022」では最優秀賞に次ぐ優秀賞に輝いていて、老舗料亭「なだ万」でも提供されるなど、米沢牛と一緒に最高のご馳走タイムを過ごすにはうってつけです。
置賜、馳走
それでは役者は揃ったということで、お待ちかねのメインディッシュの登場!もちろん米沢牛のローストビーフです!もう見た目からして神々しすぎます!
ここについさっき炊き上がったばかりの「夢ごこち」と漬物が加わり、、
圧勝です!(拍手パチパチ)
赤身と脂身のバランスが程よい良質の米沢牛に適度に火が通されたローストビーフは、柔らかくてしっとりしています。脂が多いサーロインステーキとはまた違って、肉の旨味をしっかりと感じられて、女性の評価が高そうな肉料理です!
ソースは、黒にんにくのソース・菊芋のソース・山葵・塩の4種類です。どれもお肉との相性がバッチリで、あまり見ない菊芋のソースでいただくとローストビーフがより優しく上品な味わいになります。
夫の「おまかせコース」のハーフでのワインのペアリングも、メインディッシュにあわせて赤ワイン(「Chateau Giscours(シャトー・ジスクール) 2013」)の登場です。こちらの赤ワインはフルボディで深みがあるので、米沢牛とのマリアージュは当然最高!
と、私もメインディッシュの肉料理にあわせて赤ワインをグラスでオーダーしました。
私がオーダーしたのは、山形県天童市の武田ワイナリーが醸造した「KAMIOGINOTO 843-5(2018)」のグラス(1,900円)です。
特別区画「上荻野戸843-5」で栽培したマスカット・ベリーAのみで醸造しているため、この名前とのこと。しかも、こちらは未開栓のものを開けてもらい、最初の1杯目をいただいちゃいました。
こうして幸福感に満たされたときを過ごしていると、おかわりのサービスということで追加のお肉がやってきました!
もうここまでされて「山形座 瀧波」のファンにならないほうがおかしいレベルのサービスです。
留め
期待以上のメインディッシュを完食してその余韻に浸っているところで、留めのお味噌汁が可愛らしいお椀で出てきました。
お味噌は合わせ味噌で、具は三陸産のしじみです。
そして、留めのお味噌汁でホッと一息ついてデザートが出てくる前のタイミングで、本日3回目の無料ドリンクのサービスです!!!
「山形座 瀧波」のシニアソムリエの久松さんが、この日のゲスト全員に自家製のカクテル(山形県の洋梨のラフランスがベースのカクテル)を振る舞ってくださいました。ラフランスのつぶつぶした果実感があり、アルコール濃度も約3%と低めなので、ディナー終盤のタイミングでもかる~く飲めちゃいます。
お楽しみ
最後のお楽しみ、デザートの「紅茶のアイスと林檎のコンポート」で締めくくりです。リンゴのコンポートには、乾燥させたリンゴの皮もあしらわれています。
デザートの提供のタイミングで、照明が落ちて何事かなと思いきや、この日のゲストのおひとりがバースデーということで、祝福のサプライズ演出がありました。
ダイニング「1/365」の空間全体がピースフルな雰囲気に包まれてとてもよきです。幸せのおすそ分けにあずかることができて、私たちまで心がほっこりしちゃいました。
大人気宿のディナーの実力やいかにといった心持ちでレポートにのぞみましたが、ディナー全体の流れを通して一種のショーのような臨場感も体験でき、かつどの料理の味もハズレがなく、けっこうな高評価でした。
加えて、これでもかというほどの振舞酒(合計3杯!)とローストビーフの追加を受けると、この日のゲストのみなさんからも自然と笑みがこぼれ、終始明るくにぎやかな雰囲気の中でのディナーと相成りました。こうしたサービスはあらかじめ計算づくのところもあるとは思いますが、わかっていてもこれにのっちゃうのがおもてなしを受ける醍醐味ですよね。
21:00~ バータイム(ラウンジ「1916」)
2時間以上にわたってディナーを満喫させてもらった後は、部屋に戻る前にラウンジ「1916」にも立ち寄ってみます。
ディナー終了後から24時までの間はバータイムとして、ラウンジ「1916」で提供されているフリーフローのドリンクにアルコール類とチャーム(おつまみ)が追加されるので、そちらをチェックします。
(2023年12月23日時点のもの)
- ばくれん 超辛口吟醸(山形県鶴岡市・亀の井酒造)
- ヨー子(山形県酒田市・楯の川酒造)
- ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)
- バランタイン ブルー 12年
私たちは部屋でひと休みしてから大浴場に行ってみようと思っていたので、15分ほどラウンジでくつろいで部屋に戻りましたが、ディナータイムに飲み足りなかった方や、ディナーの後はぐっすり眠るだけという方は、ライトアップされた庭を眺めながらラウンジでチビチビやるものオツなんじゃないでしょうか。
さて、次回は「山形座 瀧波」回の最終回ということで、まだ取り上げていない大浴場(湯処「073」)や、“置賜ガストロノミー”の朝食などを一気にまとめて紹介してきます。
【続く】
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