2023年10月に「オーベルジュ鈴鐘」に宿泊してからというもの、オーベルジュにはすっかりはまった夫の影響で、ここ最近は東北地方のオーベルジュを取り上げる機会が増えていますが、岩手県の八幡平に抜群の高評価・高コスパのオーベルジュがあるのを発見してしまいました。
フランスを発祥とする、郊外や地方にある宿泊設備を備えたレストラン
(出典:「日本オーベルジュ協会」公式サイト)
そのお宿が「全4室の小さな宿 Beaver(ビーバー)」(岩手・東八幡平温泉、以下「 Beaver(ビーバー)」と略します)で、その名のとおり総客室数がわずか4室の正真正銘の小宿です。
でも、宿泊料金はお高いんでしょと思いきや、、1泊2食付き・2つの貸切温泉風呂を完備で1名あたり1万3000円~1万6000円前後で、しかも週末でも宿泊料金がほとんど変わらないという、にわかには信じがたい驚異の高コスパ宿なのです!
ということで、ときめき9割と不安1割の気持ちを抱えて、2023年12月2日(土)~3日(日)にかけて「 Beaver(ビーバー)」に宿泊してきたので、今回はこちらの完全攻略ブログをアップしたいと思います。
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【「全4室の小さな宿 Beaver」の基本情報】
住所 | 〒028-7302 岩手県八幡平市松尾寄木1-505ー203 |
開業年 | 1996年 ※2017年12月16日に館内リニューアル(5室→4室) |
電話番号 | 0195-78-2118 |
アクセス | 【新幹線→バスの場合】 ・東京駅・仙台駅・新青森駅→JR東北新幹線→盛岡駅下車→岩手県北バス「八幡平マウンテンホテル行」または「松川温泉行」に乗車(盛岡駅前東口③番のりば)→「八幡平温泉郷」下車(約95分、1,040円)→徒歩約10分 【車の場合】 ・仙台→仙台宮城IC→東北自動車道→西根IC→一般道→「 Beaver(ビーバー)」(約160分) |
総客室 | 全4室 |
駐車場 | 5台(無料、予約不要) |
チェックイン | 16:00(最終チェックイン18:30) |
チェックアウト | 10:00 |
公式HP | https://iwate-beaver.com/ |
「 Beaver(ビーバー)」は、家族で運営されている小規模な宿泊施設で、オーナーシェフがかなりの時間をかけて料理の仕込みを行っているなどの事情から、以下のような注意事項があります。これらの注意事項をよく理解してから予約してください。
・ 最寄り駅までの送迎はありません
・ 子連れ(高校生未満)は宿泊できません
・ 連泊には対応していません
・ 3名以上での宿泊受入れは休止しています
・ アーリーチェックインは対応していません
・ レイトチェックアウトは対応していません
「 Beaver(ビーバー)」は、十和田八幡平国立公園内、岩手県の最高峰、標高2,038mの岩手山の北麓に広がる温泉リゾート地である東八幡平温泉郷の中に位置しています。東八幡平温泉郷は昭和46年、旧松尾村が中心になって「松川地熱発電所」から約6kmの区間にわたる温泉の引き湯に成功したことで誕生しました。
「 Beaver(ビーバー)」では、オーナーシェフが腕によりをかけた旬菜創作フレンチの料理が一番の目玉で、2018年のじゃらんの泊まってよかった宿大賞の【東北エリア・50室以下部門】では、朝食で第2位、夕食で第3位の評価を受けています。
それだけでなく、2つある貸切温泉も家族経営の宿泊施設とは思えない充実っぷりです。特に、貸切風呂「MAGUMAの湯」では、引き湯された東八幡平温泉の硫黄泉を露天風呂で楽しめて、冬の季節には風情たっぷりの雪見風呂も堪能できます。
「サービスよし」「コスパよし」とくれば、各宿泊予約サイトでの口コミも当然のように高評価な口コミばかりです。というか、楽天トラベルとじゃらんでは満点の5点の評価がついていて、圧倒的すぎる高評価です!
(2024年1月3日時点のもの)
- Google :★4.6(総口コミ数72件)
- 楽天トラベル:★5.0(総口コミ数59件)
- じゃらん :★5.0(総口コミ数532件)
それでいて、客室数が少なく予約困難宿であることも影響してか、youtubeやblogでの情報はまだまだ少なかったので、今回なんとか予約して、巷で噂の大人の隠れ宿に宿泊することができました。
「全4室の小さな宿 Beaver(ビーバー)」の主な高評価ポイントはこちらです。
- リーズナブルな価格でおこもりが楽しめるプライベートステイ
- オーナーシェフが減圧調理等を駆使して作り上げる旬菜創作フレンチ
- 天然硫黄泉の露天風呂を含む、源泉かけ流しの2つの貸切風呂
「 Beaver(ビーバー)」の客室には1階の離れ風の客室(モダン和洋室「Room01」)と母屋2階の客室(「Room02」「Room03」「Room05」、なお「Room04」は欠番扱い)がありますが、今回の宿泊では十分な広さを備えプライベート性の高い客室「Room01」を予約しました。また、せっかくなので、ディナーも奮発して少し高めの「八幡平牛・イチボ&ランプ食べ比べプラン」を予約しました。
「 Beaver(ビーバー)」にチェックインしてからチェックアウトするまでの流れ(モデルプラン)は、次のとおりです。
今回の宿泊中のスケジュール(モデルプラン)
1日目 |
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16:00 チェックイン |
16:15 ルームツアー |
17:00 入浴(貸切風呂「MAGUMAの湯」) |
18:00 ウェルカムスイーツ |
19:00 ディナー |
21:00 部屋でくつろぐ |
22:00 入浴(貸切風呂「Vivaなヒバ湯」) |
23:00 就寝 |
2日目 |
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6:30 起床 |
6:40 入浴(貸切風呂「MAGUMAの湯」) |
8:00 朝食 |
9:00 チェックアウトの準備・館内散策 |
10:00 チェックアウト |
1日目
16:00 チェックイン
「 Beaver(ビーバー)」がある東八幡平温泉郷までは、仙台からは車で約2時間40分かかります。東北自動車道をひたすら北上し、西根インターで高速道路を降りて一般道(西根バイパス)に入ります。
宿の付近にはコンビニやスーパーはないので、もし買い物をしたい場合には、西根インターの出口をでてすぐ右(盛岡方面)にあるコンビニエンスストア(「ファミリーマート 八幡平西根インター店」)で必要なものを購入してから、宿のほう(鹿角・西根方面)に向かいましょう。
西根バイパスから岩手県道233号(焼走り線)などを経て、岩手山パノラマラインとの合流地点から600mほど進んだところにある交差点を左折して、さらに500mほどまっすぐ進むと右手に「 Beaver(ビーバー)」の看板と建物が見えてきます。道路状況によっては、仙台からだと3時間くらいみておいたほうが安心かもしれません。
「 Beaver(ビーバー)」の建物全体は、2階建てのペンション風の建物同士が渡り廊下でつながっている構造になっています。白い外観の建物が母屋で、離れ風の客室「Room01」以外の館内設備はこちらの建物に集約されています。建物の外観だけでは、一般民家との区別がつきにくいですが、入口には立て看板が設置されているので、迷うことなく建物を発見することができました。
私たち夫婦はチェックインの受付開始時刻の15分前の15時45分頃に「 Beaver(ビーバー)」に到着しましたが、すでにお伝えしたとおり、「 Beaver(ビーバー)」は16時にならないと館内に入れないので、建物の外観や周辺の写真を撮影した後は、駐車場に停めた車の中で待機していました。それにしても、12月に入ったばかりの時期だったにもかかわらず、八幡平の雪の多さにはビックリ!
16時になる頃に、オーナーの奥様からチェックインOKとのアナウンスをいただいたので、予想以上に厳しい寒さをしのぐために足早に母屋の建物に向かいます。
「 Beaver(ビーバー)」の母屋の正面玄関では、可愛らしいディスプレイが歓迎してくれて、装飾の雰囲気からも手作り感のあるアットホームなお宿であることがわかります。
入口ドアを開けて館内に入ると、すぐ目の前にフロントデスクが設置されています。
チェックイン1番のりだった私たちは、宿泊者名簿に必要事項を記入しながら、スタッフさん(オーナーのお母様とおぼしき方)から館内の説明を受けました。「 Beaver(ビーバー)」では、夕食の時間は18:00で統一されていますが、翌日の朝食の時間は8:00と8:30のどちらかを選べるので、このときに朝食の時間も決めてしまいます。私たちは8:00を予約しました。
フロントの受付カウンター周辺は、一般家庭の玄関を少しスケールアップさせた程度のこじんまりした広さで、まさに限られたゲストを迎えるためだけのペンションといった感じの佇まいです。
一通りの説明を受けたら、スタッフさんのアテンドで、この日私たちが宿泊する離れ風の客室「Room01」に向かいます。まずは、フロント横の廊下を突き当りまで進んで左に曲がります。
そうすると、廊下が左右にわかれている浴場入口付近に出るので、ここで貸切風呂の利用に関する説明を受けたうえで2日目の朝の貸切風呂の予約をとっておきます。
「 Beaver(ビーバー)」の2つの貸切風呂(「MAGUMAの湯」と「Vivaなヒバ湯」)は1日目は空いていればいつでも自由に利用できますが、2日目の利用に関しては先着順の予約制になっています。予約方法は、チェックインを済ませた人から、それぞれの貸切風呂の浴場入口に掲げられているホワイトボードに自分の部屋の番号のマグネットを置いて予約するシステムです。
露天風呂を完備している「MAGUMAの湯」のほうが人気が高く、4室だけとはいえ朝風呂の予約希望がけっこう競合するので、忘れずに予約しておきましょう。
私たちは、朝食の時間を午前8時にしたことを踏まえて、【 6:40~7:10 】の時間で「MAGUMAの湯」を予約しましたが、次の【 7:20~7:50 】の時間帯でもいいでしょう。
2日目の朝風呂の予約を無事に済ませたら、廊下を左にさらに奥へと進みます。体格が大きい方用にLLサイズの浴衣が備え置かれているので、必要な場合はここでピックアップしてから客室に向かいます。
渡り廊下をまっすぐに進んで行くと、離れ風の客室「Room01」に到着です!
16:15~ ルームツアー
ここからは、離れ風の客室「Room01」の入口ドアを鍵で開けて、ルームツアーを開始です!
廊下、トイレ兼洗面所
入口のドアを開けると、真っすぐな廊下が伸びていました。廊下の右側に沿って大きなガラス窓が設置されていて、縁側のようになっています。
2日目の朝に廊下の窓を開けて外の眺めを確認してみましたが、一面の雪景色でした。夏の時期だと、また違う雰囲気に様変わりするんでしょうね。
廊下の突き当りにはトイレスペースが設けられていて、中にはトイレとコンパクトな洗面台が設置されていました。客室内にはバスルームは設けられていないので、水回りはここだけです。
リビング兼ベッドルーム
廊下の左側のふすまを開けると、そこには16畳の和洋室(8畳の和モダンなリビングルーム+8畳のフローリングのベッドルームを間仕切りを取り払ってワンルームにしたもの)が現れました。壁は黄色味がかった漆喰でまさに和洋折衷といった趣きです。
8畳のリビングルームは、床の中央部分に縁なしの畳を配置し、その外側を囲むようにフローリングという和モダンスタイルが採用されています。リビングルーム内に設置された化粧鏡には、ヘアドライヤー(Panasonic製のionity「EH-NE1E」)が備え付けられていました。
リビングルーム中央のテーブルの上に置かれている宿泊利用案内には、滞在中の注意事項などが書かれていました。
こちらの宿泊利用案内の最後のところに、「冷蔵庫にミネラルウォーター・シェフ手作りのウェルカムスイーツをご用意させて頂いております。」とあったので、冷蔵庫を探してみるも場所がわからずに少しあたふた(汗)。
よく見てみると、壁掛けテレビの横に壁の中に埋め込まれるようにしてミニ冷蔵庫が設置されていました。冷蔵庫がこんな形で設置されているのを見たのは初めてです。冷蔵庫の中を開けてみると、500mlのミネラルウォーター(「蛍の郷の天然水」)×2と自家製プリン×2がちゃんと入っていました。
ちなみに、押し入れの中は予備の布団でした。
ベッドルームには、低床ベッド(すのこの上にマットレスを設置したもの)が設置されています。マットレスのスプリングの弾性が強めなので、(私たちは熟睡できましたが)好みがわかれるマットレスだと思います。
ベッドルームの壁には、本やインテリアが飾られていて、殺風景になりがちなベッドルームをオシャレ空間に変えてくれます。
過去写真を見てみると、以前は「Room01」のベッドルームにマッサージチェアが置かれていたようですが、2023年12月時点ではなくなっていました。
このリビング兼ベッドルームの難点を言えば、16畳の広さなので、どうしても冷暖房効率が落ちてしまうことです。客室内には暖房器具(エアコン、ファンヒーター)が設置されていますが、乾燥が気になる私はエアコンを入れないようにしていたこともあって、12月初旬の八幡平の山の麓の寒さはなかなかでした。乾燥が気になる方は、暖かめの部屋着を家から持参しておいたほうがいいと思います。
最後に恒例のWiFi通信速度の計測です。26Mbpsでしたので、問題ありません。
17:00~ 入浴(「MAGUMAの湯」)
ルームツアーを終えて一息ついたら、ディナー前に入浴を済ませておくために、貸切風呂の浴場に向かいます。ベッドルームのクローゼットには、半纏と消臭スプレー・殺虫剤などと一緒に、入浴セット(湯かご、バスタオル、浴衣・帯、フェイスタオル、歯ブラシ)が入っています。
ちょうど私たちのすぐ後にチェックインしたゲストさんがリピーターさんだったようで、16時のチェックインと同時に人気の「MAGUMAの湯」に勢いよく入っていったので、そこが空くのを見計らって17時前のタイミングで、持ってきた着替えやスキンケアセットを入浴セットに入れて貸切風呂に向かいました。
2つの貸切風呂の空室状況は、浴場入口付近の利用状況の表示ランプの点灯の有無で確認することができます。私たちが浴場入口付近に着いた際には、「MAGUMAの湯(まぐまのゆ)」と「Vivaなヒバ湯(びばなひばゆ)」の両方ともランプが点灯しておらず、どちらも入浴できる状況だったので、ここはもちろん「MAGUMAの湯」を選択します。
また、貸切風呂「MAGUMAの湯」「Vivaなヒバ湯」の入口前の廊下には、ウォーターサーバーが設置されているので、入浴前と入浴後の水分補給も忘れずにしておきます。
「MAGUMAの湯」の入口ドアを開けて中に入ると、脱衣所が二間続きになっていて、手前の部屋には棚と椅子と鏡が設置されていました。
入口ドアを開けてすぐ右横には「埋込タブレットスイッチ」が設置されています。ここに鍵に付属のキーホルダーを挿し込むと、外の表示ランプが点灯して他のゲストに利用中であることを知らせてくれます。もちろん内鍵もかけておくことを忘れずに。
隣の部屋に進むと、簡素な洗面台が設置された脱衣所になっています。
脱衣所に備え付けのヘアドライヤーは速乾性タイプのものでした。アメニティは、ローション(「馬油 ナチュラルミルクローション」)、化粧水(「ハトムギ化粧水」)、コットン、綿棒、T字カミソリの必要最小限のものでした。
脱衣所のチェックを終えたら、いよいよ奥の浴場に進んで行きます。
手前にある「MAGUMAの湯」の内風呂は、御影石造りの定員1,2名の浴槽です。写真でわかる以上に、浴場内の湯けむりがすごく、あたりには硫化水素臭がいい感じに充満しています。
内風呂には洗い場が1ヶ所設置されていて、備え置きのバスアメニティ(シャンプー、コンディショナー、ボディソープ)は「季の滴」シリーズでした。
そして、内風呂を通過して、「 Beaver(ビーバー)」の貸切風呂の一番の目玉である「MAGUMAの湯」の露天風呂に進むと、、
ライトアップされた庭×雪×星空の豪華なコラボレーション!
屋根付きなので、天候に左右されないで、風情たっぷりの露天風呂を堪能できるのもよきです。
露天風呂の浴槽は定員2,3名程度と、内湯の浴槽よりは少しだけ広めでした。
「MAGUMAの湯」の源泉は、「松川地熱発電所」から引き湯された弱アルカリ性の源泉かけ流しの温泉です(源泉の温度が高いため、加水による温度調整はしています)。
硫黄泉のため硫化水素臭は漂っていますが、露天風呂のほうは外気で中和されるためあまり気にならず、また肌への刺激も少ないので、時間いっぱいまでのんびりと硫黄泉につかって、1日の疲れをとることができました。
【貸切風呂「MAGUMAの湯」の基本情報(温泉分析書より引用)】
利用時間 | 16:00~翌9:10 ※4:30~5:00は湯温調整のため入浴不可 |
内容 | 内湯、露天風呂 |
源泉 | 八幡平温泉(マグマの湯) |
泉質 | 単純硫黄泉(硫化水素型)(低張性-弱酸性高温泉) |
泉温 | 69.6℃ |
pH値 | 4.4 |
効能 | 高血圧症、動脈硬化症、末梢循環障害、リウマチ性疾患、慢性中毒症、 慢性湿疹、脂漏性疾患、しもやけ、慢性膿皮症、運動障害、創傷 |
ここまででも全4室の小宿とは思えないほどの設備の充実っぷりをお伝えできたと思いますが、次回以降はオーベルジュと呼ばれる「 Beaver(ビーバー)」のこだわりの料理(夕食・朝食)ともう一つの貸切風呂「Vivaなヒバ湯」などを紹介します。
【続く】
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